十一、弁天様の池(べんてんさまのいけ)

現在の養報寺

弁天様に池はつきものであるとかいわれている。なるほどそういわれて見れば、弁天様のある所には必ず池や沼がある様です。
そして、その池や沼には、たいがい龍や蛇に関する伝説が残されている様です。
 
 「火の無い所から煙が出ない。」とのたとえもある様に、全くの伝説として一笑にふせない何ものかがある様です。科学の力では到底説明出来ない神秘的なものがある訳でしょう。
 これについて、つい最近の事ですが、八十年毎にお開帳するある所の観音様を、是非見たいと言うので、無理にお願いして入ったところ、何の理由もなく、その方は顔面に外傷してしまった。まだそれよりも不思議な事には、それと同時刻に家にいた奥さんが鼻血を出したとか、ここが笑って過ごしきりに出来ないところでしょう。

 さて倉賀野山養報寺の境内にも神秘的な伝説があるしかもこれは大人の伝説というよりはむしろ子供の世界の伝説に近いのである。

  「弁天様の池」これについての事である。
 この池の中から白蛇が出るとかいっていることです。
 子供が時々弁天様の橋の方から、転ぶ様に駆け出して来る事があります。恐怖そのものの目付呼吸、中には泣いてはいるが涙は出ていない者もある。

「一体どうしたの。」と、聞けば、子供等は我先に「白蛇の抜殻があったんです。」という。
「なんだ、それ位の事に。」と、行って見るとそれは白蛇でも何でもない。風に舞い落ちて途中木の根、石かどに引っ掛かった白い布切れ
ではないか。しかし子供は簡単なものです。
誰か一人が「白蛇だ。」と言えば夢中で逃げ出すのです。この様に子供達は、弁天様の池の所へ来ると、その都度白蛇の事を思い浮べているに相違ありません。
誰から聞いた事なのか最近では、息をしないで池の周りを三回廻ってから上を見ると必ず不思議な白蛇の姿が空天に見られる、ということです。

 女、子供は、ここに建てられた弁天様と、この弁天様を取巻く様に巡らされた古めかしい池との間に、何かしら不思議な因縁でもあるかの様に信じている。

 そして今でも子供達は
「弁天様の所へ行くと白蛇が出るぞ。」等、互いに言い合っているのも面白い事ではありませんか。