三八、八幡裏の大蛇と小蛇(はちまんうらのだいじゃとこへび)

何十年か前のこと、八幡裏に大蛇が出ると言う奇怪な言い伝えがあった。しかもその大蛇を見ると必ず大病をするか、あるいは運悪い人は死んでしまう等、  不思議な伝説である。この大蛇には、幾匹かの子蛇がいて、その蛇が時々八幡境内に遊びに出て来るという。しかしはっきりと見た者は無いらしい。時々子蛇の抜け殻を持って来て置くと、その家は次第次第に繁盛して、魔のさすこと等絶対に無くことには五穀を扱う百姓さん等では魔除けには申し分のないものとして、非常に欲しがった。それ故、この近くの人々は、一生懸命、手に入れ様としてあせったが、そう容易に得られるものではなかった。これを見付けるには、どうしてどうして命懸けの仕事だった。若し大蛇でもいて、それを見てしまえば死か大病、それにいつ出て来るかそれさえ不明なのだから一層薄気味悪い。子蛇の抜け殻は欲しい。大蛇には是が非でも逢いたくない、こうして去るには去れず、行くには行かれず迷ったという。いつしか年過ぎ星も移りかわって人の心もまた変わってきた。

「なるほどね、そんな話もあるもんですか。」と今では別に気にする者もない。