四十、養報寺の七沸薬師(ようほうじのしちぶつやくし)

古い事においてはこれ程古い薬師様が他にあろうかと思わせる程、苔むし、ひび割れのした古めかしい薬師様が、ここ養報寺の七佛薬師様です。

 倉賀野町の下の方に薬師堂という地名があります。そこに何百年も前から安置されて、眼病一切に御利益あるとして、大衆の信仰を集めていたが、明治の初め頃、今の長賀寺山に移されたのである。

 それからしばらくここにあったが、再び養報寺へ移されて現在の位置に据えられたのである。
 この薬師様には小さく切った紙へ、「め」という字を一字書いて上げて置くと、どんな眼病でも直ぐ治ると言い伝えられ、ごく最近までは、よく薬師様の頭の上や、肩などに、「め」「め」と書いた字が載せられてあった。

 今では殆ど振り向く者もないと見え、徒に風雨にさらされているが、語るなら尋ねてみたい昔語を……



(おわり)